●CKDをご紹介します
■CKDっていったい何でしょうか?
CKDとはchronic kidney diseaseの略語で、日本語では慢性腎臓病といいます。
CKDは単一の疾患ではなく、腎機能に影響を及ぼす様々なリスクファクター(高齢、高血圧、
糖尿病、脂質異常症、肥満など)が重なり合って発症する慢性的な腎機能障害のことを言います。
「蛋白尿などの腎障害、もしくはGFR60未満の腎機能低下が3ヶ月以上持続するもの」と定義され
ています。ちょっと難しいのですが、このCKDを理解するためには腎機能を知ることが重要になり
ます。腎機能はGFRで表すことができます。
■GFRについて
GFRとはglomerular filtration rateの略で、日本語では糸球体濾過量といいます。
このGFRは腎臓の糸球体からどれだけの濾液(できたばかりの尿)が濾過されるかを表し、
下記のような推算式で求めます。“e”はestimateの意味で使われ、推測した値ということです。
eGFR(mL/min/1.73m2)=194×Cr-1.094×年齢-0.287
eGFR(mL/min/1.73m2)=194×Cr-1.094×年齢-0.287×0.739
CASIOが運営するKeisanというサイトで簡単に計算できます。
計算するには性別、年令、血清クレアチニン値の3つを入力するだけです。
(血清クレアチニンも腎機能を表し、特定健診などの必須項目になっています)
■CKDの病期分類(GFR)
CKDは5段階の病期に分類され、GFRの低下にしたがって腎機能も低下します。
病期1:≧90 病期2:60〜89 病期3:30〜59 病期4:15〜29 病期5:<15
■CKDの現状
人工透析に至った原因疾患からみると、
第1位:糖尿病性腎症(43.2%) 第2位:慢性糸球体腎炎(23.0%) 第3位:腎硬化症(10.5%)となり、
糖尿病性腎症は1998年から慢性糸球体腎炎を抜いて、今や独走状態です。
■一言
1)1年に1度健康診断を必ず受けましょう。
2)検尿は簡単な検査ですが、とても重要な情報が得られます。
3)中高年の方は体重測定とともに家庭血圧も測定しましょう。
4)様々なリスクファクターによって症状のないまま、知らないうちに腎機能が低下することがあります。
CKDの初期(ステージ1〜2)には年齢、血尿、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙などが
リスクファクターになります。
5)近年糖尿病が激増しており、それによる糖尿病性腎症を原因とする透析患者数も増加傾向に
あります。普段から肥満にならないよう食事の内容・カロリーに気をつけて、軽い運動を日課に
してください。