●COPDその1
■COPDって何のことでしょうか
COPDとはChronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字をとったもので、日本では
「慢性閉塞性肺疾患」と呼んでいます。
■COPDの定義について
1)日本呼吸器学会COPDガイドライン(2009)によると、
「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である。
呼吸機能検査で正常に復することのない気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変
がさまざまな割合で複合的に作用することにより起こり、進行性である。臨床的には徐々に生じ
る体動時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とする」と定義しています。
2)少々難しい表現なので要約しますと、
「気道や肺胞が炎症を起こすことによって肺の機能が低下し、肺での十分な酸素の取り込みが出
来なくなる病気のことです」
■呼吸について
私たちは健康であれば意識をせずに楽に呼吸が出来ます。呼吸は空気を吸って、吐くという
“換気”と肺の中に吸い込んだ酸素と二酸化炭素とを交換する“ガス交換”の働きで成り立って
います。COPDは気管支の内腔が狭くなって空気の流れが悪くなったり、肺胞が壊れて十分なガ
ス交換が出来なくなる状態をいいます。
■COPDの原因は
COPDの最大の原因は喫煙です。喫煙者の10〜20%がCOPDを発症しており、COPDの患者さ
んのおよそ95%は喫煙者であるといわれています。タバコ煙は慢性の炎症を引き起こし、気管支
と肺胞を広く傷つけ、喫煙を止めても進行性に炎症性変化が続きます。ただし、禁煙することに
よって呼吸機能の低下の速度を遅らせることができます。
■症状は
習慣的な喫煙を始めてからおよそ20年でCOPDが発症するといわれています。喫煙歴の長い40
歳以上の方の、慢性のせき、たんと入浴、階段、散歩などの日常の簡単な動作での息切れ、呼吸
困難などが特徴です。心当たりがある方はかかりつけの先生に相談しましょう。
■日本におけるCOPDの現状は
NICE study(Nippon COPD Epidemiology,2000~2001年)によると、40才以上の人口の8.6%
がCOPDであり、人口に換算すると530万人の患者さんがいると推測されています。
またCOPDは死亡原因の10位にランクされ、2008年には15505人が死亡しています。
1位:悪性新生物 2位:心疾患 3位:脳血管疾患 4位:肺炎 5位:不慮の事故 6位:老衰 7位:自殺 8位:腎不全 9位:肝疾患 10位:慢性閉塞性肺疾患COPD |
(国民衛生の動向2009より引用)
※次回もCOPD(その2)について勉強しましょう!