●タバコはなにが問題なのか
「タバコはなにが問題なのか」というテーマの講演記事が横浜市医師会報(729号)に載っていましたので、
その一部をご紹介します。大変ためになります。ご一読ください。
■問題点@:タバコは発がん性物質、有害化学物質を発生する有害商品である
タバコは通常の使い方でも種々の病気になり、死亡の原因になる有害物質である。軽いタバコの毒性は軽くない。
しかも他のあらゆる製品と異なり、およそ600種類の添加物が判明しているが製品の「安全テスト」はなされず、
市場に出回っている特殊な製品である。60種類もの発がん性物質を含むタバコ煙は「完全発がん性物質」とされ
ている。
ニコチン吸収促進 |
アンモニアによるアルカリ化。ニコチンの粘膜吸収促進 |
麻酔効果 |
メンソールによる刺激緩和 |
ニコチンの依存性強化 |
グリセリン、砂糖の燃焼によるアセトアルデヒド効果 |
気管支拡張作用 |
テオブロミン、グルチルリチンによるニコチンの吸収増加 |
無煙化 |
炭酸マグネシウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ソーダ |
無臭化 |
アセチルピラジン、ポリアネトール、ベンズアルデヒド |
※上記の表は添加物とその目的の例です。
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厚労省検討会2002 |
国際がん研究機関2004 |
米国公衆衛生総監2004 |
鼻腔・副鼻腔 |
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喉頭 |
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肺 |
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口腔 |
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咽頭 |
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食道 |
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胃 |
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肝 |
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膵 |
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腎 |
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腎盂・尿管 |
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膀胱 |
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子宮頚部 |
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白血病 |
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※上記の表は公的機関報告書における喫煙とがんとの関係を示したものです。
●印は明白な証拠のあるもの
■問題点A:タバコは嗜好品ではなく、依存性の強いニコチンを摂取するための道具である
@吸いたいという気持ちがわき起こる:抑止困難 |
A気がつくといつの間にか吸っている:どんなに忙しくても忘れることはない |
Bやめようとすると禁断症状が出てくる:イライラ・眠気、集中力の欠如 |
C量が増えたり、きついものに変わる |
Dニコチンが切れるとタバコ以外のものへの興味がなくなる: |
E害や病気が起きてもまだ続ける:妊娠しても止められない妊婦がいる |
これらの6つのうち3つ以上で依存症という |
※上記の表はWHOの「依存症の診断基準」にタバコをあてはめたものです。
使用者における依存症 |
ニコチン>ヘロイン>コカイン>アルコール>カフェイン |
使用中止困難 |
(ニコチン=アルコール=コカイン=ヘロイン)>カフェイン |
耐性 |
(ニコチン=アルコール=ヘロイン)>コカイン>カフェイン |
離脱症状(身体的依存) |
アルコール>ヘロイン>ニコチン>コカイン>カフェイン |
急性毒性 |
アルコール>(コカイン=ヘロイン)>カフェイン>ニコチン |
超過死亡 |
ニコチン>アルコール>(コカイン=ヘロイン)>カフェイン |
※上記の表はニコチンと他の依存症薬物との比較を示したものです。
■問題点B:環境タバコ煙を吸わされる受動喫煙の害は明白である
副流煙と喫煙者がはき出す呼出煙を合わせて環境タバコ煙という。主流煙は900℃で燃焼するが、副流煙は400
〜600℃の低温燃焼であるため不完全燃焼である。したがって発がん性物質、有害化学物質などはいずれも大量
に発生する。
♦がん:肺がん、副鼻腔炎
♦呼吸器:COPD、気管支喘息、呼吸機能低下
♦心臓・血管:動脈硬化、狭心症、心筋梗塞
♦妊婦の受動喫煙:低体重出生、子宮内発育遅延
♦小児:呼吸機能低下、急性気管支炎、喘息性気管支炎、気管支喘息、急性細気管支炎、肺炎、肺結核、
乳幼児突然死症候群、慢性副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎
これらは受動喫煙との関連がほぼ確定している疾患です。
■問題点C:「マナー」にとどめず「ルール」が必要である
世界タバコ規制枠組条約(FCTC)の目的は「タバコの破壊的な影響から現在および将来の世代を守る」ことであ
る。受動喫煙の防止の項で「受動喫煙は死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的に証明されている。よっ
て、公共の場における受動喫煙を防止するために立法、行政上の処置を行うこと」とされているが、日本では
「努力義務」であるとして守ろうとしていない。
■問題点D:女性、子どもの喫煙者の増加
日本では子供の喫煙者が増加している。とりわけ女性の喫煙者が増加の一途である。
■問題点E:日本のタバコ事情の特徴
日本ではタバコが国の専売であった歴史があり、タバコの監督官庁が財務省で、日本たばこ産業の株の半分以上
を保有する筆頭株主が財務大臣である。このことは国が禁煙推進に消極的であることは自明である。さらにたば
こ事業法という法律により,たばこ産業を国が全面的に擁護している。
■最後に
私はH7年に禁煙して17年経ちました。ほんとうにタバコをやめてよかったと思います。タバコをやめて最初に
味覚が回復して、味に敏感になります。そして食欲がわいてきて、何を食べてもおいしくなりました。また上り
の階段での息苦しさもなくなり、呼吸が楽になりました。服や呼気のタバコ臭もなく、部屋の壁の黄ばみもなく
なりました。
スパイログラムでは同年齢の非喫煙者を上回る結果でした。肺年齢は実年齢より2歳若く判定されました。自分
自身の健康回復と同時に家族を受動喫煙から守ることができてよかったと思います。禁煙しましょう!