●こむら返り
■「こむら返り」とはいったい何のことでしょう:
まず“こむら(腓)”とはすねの後ろ側の軟らかい部分、つまり“ふくらはぎ”のことです。
この「ふくらはぎがひきつった状態」をこむら返りといいます。今回は日常よく起こるふく
らはぎのこむら返りについて簡単にお話しします。
■ちょっと難しい表現:
このこむら返りは専門的には「突然起こる痛みを伴う骨格筋の収縮」ということになります。
特にふくらはぎ、太ももなどに多く起こり、運動中、運動後や睡眠中にも生じます。
■原因について:
明らかな発症のメカニズムは分かっていませんが、運動ニューロンの過剰な興奮が引き金
となって筋収縮が起こり、血流が阻害され、筋の虚血を招いて痛みが出るといいます。筋の
疲労やウォーミングアップ不足などが原因で起こるようです。冷水での水泳、テニスのサー
ブでのつま先立ちなどで誘発されます。
■睡眠中のこむら返り:
運動中やプールでのこむら返りは私自身も経験ありますが、それとは全く正反対の安静睡
眠中にもこむら返りは起こります。こむら返りの7割は夜間に経験するといわれています。
65歳以上の約6割の患者さんが夜間に起こると報告されています。特に高齢者では女性
に多いともいわれています。
■起こったらどうしたらいいのか:
激しい痛みに耐えて、ふくらはぎのストレッチをします。寝ている状態であれば、つった側
の膝を曲げないようにして拇趾を引っ張ってください。腹ばいの時は、つま先が伸びている
状態なので、仰向けに寝がえりをうってから拇趾を引っ張ってみましょう。立っている状態
であれば、かかとをつけたまま、反対側の膝を軽く曲げふくらはぎをストレッチしてくださ
い。
この図では左のふくらはぎがストレッチされています。
■予防するにはどうしたらいいのか:
毎日起きる場合は予防的に毎日お薬を内服したり(就寝時1回)、あるいは発症した時に頓
服する方法もあります。どちらも芍薬甘草湯を使います。その他、運動前後のストレッチを
欠かさないこと、脱水にならないようにスポーツドリンクを補給することそして下肢が冷
えないよう心がけることが大事です。
■私の場合:
小学校のころ、夏には横浜の元町プールによく通っていました。このプールは水道水の他に
湧水も使っていたので、真夏でもとても冷たく、よく足がつったことを思い出します。大人
になってからは数年前より睡眠中、特に明け方にふくらはぎの激痛で目を覚ましました。毎
日ではありませんが、週1回程度起こります。毎回痛みが出る前に何となくふくらはぎがき
ゅっとなり、「くるな」といういやな予感がわかります。拇趾を引っ張れば、治りますが、
もう眠れません。以来就寝前のストレッチと芍薬甘草湯を服用するようになり、こむら返り
は起こらなくなりました。この1年は内服していません。