●サプリメントをちょっと勉強しましょう
■サプリメントとはそもそもどんなものでしょうか?
アメリカでは、日本のサプリメントに相当するものはDietary Supplement(ヨーロッパではFood
Supplement)と呼ばれ、ハーブや漢方も含まれますが、日本では保健機能食品として“食品”に
分類されています。そしてこの保健機能食品は特別保健用食品と栄養機能食品に分類され、
イメージとしてはクスリと食品の中間に位置付けられています。
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保健機能食品 |
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医薬品 |
特定保健用食品 |
栄養機能食品 |
一般食品 |
(医薬部外品を含む) |
(個別許可型) |
(規格基準型) |
(健康食品を含む) |
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■特定保健用食品
特定保健用食品とは「身体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含んだ食品であって、
健康の維持増進および特定の保健の用途に資するもの」と定義されています。要するに“食品の
ある成分が、保健の用途に一定の有効性が確認されたもの”と考えてよいでしょう。
保健の用途と関与する成分について表にまとめてみました。
保健の用途 |
関与する成分 |
おなかの調子を整える |
食物繊維、ビフィズス菌、乳酸菌、オリゴ糖 |
からだに脂肪がつきにくい |
茶カテキン、ジアシルグリセロール |
コレステロールが高めの人に |
食物繊維、大豆蛋白、植物ステロール、スタノール |
食後の血中中性脂肪が上昇しにくい |
ジアシルグリセロール、グロビン蛋白分解物 |
血圧が高めの人に |
ラクトトリペプチド、かつお節オリゴペプチド、サーデン |
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ペプチド、カゼインドデカペプチド、杜仲葉配糖体 |
血糖値が気になり始めた人に |
難消化性デキストリン、グァバ葉ポリフェノール、小麦 |
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アルブミン、L−アラビノース、トウチエキス |
ミネラルの吸収を助ける、 |
クエン酸リンゴ酸カルシウム、カゼインホスホペプチド |
骨の健康が気になる人に |
大豆イソフラボン、高産生納豆、フラクトオリゴ糖 |
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ビタミンK2(メナキノン-7) |
虫歯の原因になりにくく、 |
パラチノース、マルチトール、エリスリトール、還元パラ |
歯を丈夫で健康にする |
チノース、キシリトール、フノラン、茶ポリフェノール |
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リン酸-水素カルシウム、リン酸化オリゴ糖カルシウム |
主な保健用途から高脂血症、高血圧などの生活習慣病の予防に効能が期待できそうですが、生活
習慣病の予防と治療には食事療法が基本中の基本です。食事療法にはサプリメントは含まれま
せん。サプリメントはあくまでも補助であることを忘れないようにしましょう。
■栄養機能食品
多くの人が利用しているサプリメントがこの栄養機能食品で、12種類のビタミン(A、B1、
B2、B6、B12、C、D、E、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、葉酸)と5種類の
ミネラル(カルシウム、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛)です。
ビタミン |
栄養機能表示 |
A |
夜間の視力と皮膚・粘膜の健康維持を助ける |
B1
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炭水化物からのエネルギー産生と皮膚・粘膜の健康維持を助ける |
B2 |
皮膚・粘膜の健康維持を助ける |
B6 |
蛋白質からのエネルギー産生と皮膚・粘膜の健康維持を助ける |
B12 |
赤血球の形成を助ける |
C |
抗酸化作用、皮膚・粘膜の健康維持を助ける |
D |
腸管からのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける |
E |
抗酸化作用により体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける |
ナイアシン |
皮膚・粘膜の健康維持を助ける |
ビオチン |
皮膚・粘膜の健康維持を助ける |
パントテン酸 |
皮膚・粘膜の健康維持を助ける |
葉酸 |
赤血球の形成を助ける、胎児の正常な発育に寄与する |
ミネラル |
栄養機能表示 |
カルシウム |
@骨や歯の形成に必要 |
鉄 |
@赤血球を作るのに必要 |
マグネシウム |
@骨や歯の形成に必要A多くの酵素の正常な働きとエネルギー産生を助け、血液循環を正常に保つのに必要 |
銅 |
@赤血球の形成を助けるA多くの酵素の正常な働きと骨の形成を助ける |
亜鉛 |
@味覚を正常に保つのに必要A皮膚粘膜の健康維持を助けるB蛋白質・核酸の代謝に関与 |
偏りのない食生活をしていれば、ビタミンやミネラルの補給は必要ありませんが、高齢の方、十
分な食事量が確保できない方、特定のスポーツでの減量を目的としたダイエットの場合などに不
足が予想されるビタミンをサプリメントとして補給することをお勧めします。ただし摂取目安量
(注意喚起表示)を守って、過剰にとらないように注意しましょう。
■特別用途食品
特定保健用食品と栄養機能食品とは別に、特別用途食品があり、病者用食品、妊産婦・授乳婦用
粉乳、乳児用調整粉乳、高齢者用食品に分類されています。
■注意事項
保健機能食品として認められているもの以外に、一般食品として売られている“いわゆる健康食
品”が問題であることが多いです。エフェドリンや甲状腺ホルモン剤などの医薬品を含んだ中国
のダイエット健康食品事件も記憶に新しいところです。成分に毒性があったり、食品衛生法・
PL法などを満たしていないものも多く、虚偽誇大表示、相手の顔の見えないネット通販、高額
な商品などには特に気をつけなければなりません。購入する前に“かかりつけの先生”に相談す
ることをお勧めします。また商品の苦情の有無を消費者センターへ問い合わせてみるのもよい方
法です。
■判断基準
アメリカでは、サプリメントの効果・動物実験・エビデンスなどについてのはっきりとした
「ある・なし」の記述がありますが、日本ではまだデータベースの整備が不十分です。
最も重要な問題は“サプリメントにきちんとしたエビデンスがあるかどうか”ということです。
現時点での判断基準は、@信頼できるメーカーのもの Aきちんとした成分表示・摂取目安
量・注意喚起表示のあるもの B特定保健用食品の許可マークあるいは栄養機能食品表示
のあるものということになります。国立健康・栄養研究所、日本健康・栄養食品協会、東京都
の健康食品ナビのHPなども参考にしてみてください。
■補足
今回取り上げた「サプリメント」という言葉は、国がその「健康の保持増進効果」を確認した
「保健機能食品」をさしたものです。
“健康食品”、“健康補助食品”、“栄養補助食品”、“栄養強化食品”、“栄養調整食品”、
“健康飲料”、“サプリメント”など様々な名前がついた食品が流通していますが、国によって
制度化されたものではありません。一般には錠剤やカプセルの形状をしたものをサプリメントと
呼び、食品の形態をもったものを健康補助食品として受け入れられているようです。いわゆる健
康食品については、効果を保証しているものではありませんが、安全性の観点から、商品の品質
規格を保証するJHFAマークのついたものを選択することをお勧めします。
■私の意見
土壌汚染、海洋汚染、大気汚染、水質悪化など、私たちを取り巻く環境は少しづつ、でも確実に
悪くなっています。残念ながら口に入るもので100%安全なものはありません。だからこそ少し
でもリスクを減らし、健康で、おいしい食品を食べたいと願っているわけです。
“健康のために”と称して、サプリメントを食事の一部として取り入れている方がいますが、
その考え方は誤りであり、食品に対する知識を深めることこそ健康への近道なのです。食品
の安全性、食品と病気との関係、食品の栄養特性やその組み合わせ方などの知識を得ることが最
も重要です。しかしながら、今は健康であっても将来に対する漠然とした不安はだれしももって
います。私自身も太らないように食事に気をつけ、ジョギングもしていますが、いつまで健康で
いられるかどうか心配です。サプリメントのテレビCMが気になる今日この頃です。
主役は食事、サプリメントは脇役(補助)であることを忘れずに!