●ダイエットを正しく理解する
■まず最初にダイエットの意味を考えてみましょう
一般にはダイエットという言葉は、“やせること”という意味で広く使われているようですが、
正しい解釈ではありません。ダイエットdietとは、本来「1日の食事」が原義となっています
が、実際は1)病気治療のための食事療法と2)肥満改善のための減食コントロールの2種類
の意味があります。
今回取り上げたダイエッドとは、肥満を改善することによって病気を予防したり、あるいは
すでに生活習慣病などの治療をしていて、肥満を改善することで病態そのものをさらによ
くしようとすることを目的にしています。
この減食コントロールとしてのダイエットには4つのポイントがあります。
1)総カロリーを減らす
2)規則正しい食事をする(欠食は厳禁)
3)食品の組み合わせや調理方法を工夫する
4)運動を組み込む・・・があげられます。
しかしカロリーコントロールだけを考えると、いろいろの栄養素のバランスが崩れて、貧血、肌
荒れ、体調不良などの原因になります。無理をせず、1ヶ月に1kg程度の減量が安全なダイエ
ットといえるでしょう。
自分の体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m) = 肥満度(BMI)
肥満度が 18.5≦〜<25 ⇒ 普通体重
25 ≦〜<30 ⇒ 肥満1度
30 ≦〜<35 ⇒ 肥満2度
35 ≦〜<40 ⇒ 肥満3度
40 ≦ ⇒ 肥満4度
(計算例)身長160cm、体重70kgの場合は・・・70÷1.6÷1.6=27.3⇒肥満1度
■次に標準体重を計算してみましょう
22 × 身長(m) × 身長(m) = 標準体重(kg)
(計算例)身長160cmの場合は・・・22×1.6×1.6=56.3kg
同じ身長で体重70kgの方は、
標準体重からみれば70−56.3=13.7kgのオーバーになりますが、
普通体重は18.5×1.6×1.6=47.4kgから25×1.6×1.6=64kg未満の許容範囲が
ありますので、70−64=6kgちょっとのオーバーになります。
■自分の標準体重1kgあたりに必要なカロリーは?
生活活動強度 |
職種 |
必要エネルギ−kcal/kg |
軽い |
一般事務 |
25〜30 |
中等度 |
販売員 |
30〜35 |
やや重い |
建設作業 |
35〜40 |
重い |
農繁期の農作業 |
40〜 |
自分の日常生活から考えて、必要エネルギーを選択します。
■自分の1日あたりの必要カロリーを計算してみましょう
標準体重(kg) × 標準体重1kgあたりの必要カロリー = 必要カロリー量(kcal)
(計算例)標準体重56.3kgの事務員は・・・56.3×30=1689kcal
自分が実際に摂取しているカロリーを計算して、どのくらいオーバーしているかを把握する
必要があります。
■体重1kgの減量とは
1ヶ月に1kg減量する場合、脂肪1kgは7000kcalに相当しますので、脂肪1kgを減らすには、
1日およそ250kcal分(7000kcal÷30日=233≒250kcal)を1日の食事から減らせばいいこと
になります。例題として取り上げた身長160cm、体重70kgの方が普通体重の上限まで減量する
には、理論的には約6ヶ月(1ヶ月1kgペースで6ヶ月で6kgの減量)で達成します。
■カロリーを減らす工夫
1)量の工夫:
@ご飯茶わんを小さくする
A大皿もりをやめて、一人分づつ盛り分ける
2)食べ方の工夫:
@ゆっくり食べる
Aよく噛む
B同じものを続けて食べない:
ご飯⇒主菜⇒味噌汁⇒副菜そしてご飯のように、まわして食べる
3)調理方法の工夫:
@揚げ物:フライより天ぷら、天ぷらよりから揚げ、から揚げより素揚げ
A肉を焼いたら、油分はキッチンペーパーでふきとる
Bフッ素加工のフライパンを使って、油を減らす
Cドレッシングはノンオイルを使う
4)食材の工夫:
@牛はロースよりヒレ、牛・豚より鶏、鶏なら皮は使わない
Aカレーならビーフよりシーフード
Bバターなどの動物性高脂肪製品を控える
C低脂肪ミルクを使う
D玄米や寒天を使う
5)実際例:
@スクランブルエッグ(卵1個)135kcal⇒ゆで卵75kcal
Aポテトサラダ(じゃがいも1個)220kcal⇒こふきいも84kcal
Bエビフライ(100g)300kcal⇒エビの塩焼き90kcal
6)番外:
@毎日体重測定する(同じ時間に同じ条件で、朝食前)
A「カロリーブック」をいつも手元において、摂取カロリーを記録する
B毎日の食事内容の記録をつける(デジカメやケイタイに記録する)
■ダイエットに運動を組み込む
毎日の食事のカロリー制限を厳格に守ることはとても大変です。そのためにも食事は楽しく、
おいしく、飽きないようにメリハリをつけて、続けることが最も重要です。月曜から金曜まで
は自分の決めたルールを守り、週末はほんの少し“ごほうび”をあげるといったメリハリも
必要です。その“ごほうび”のためにも、食事と運動を組み合わせることでより確実に、余裕
をもってダイエットが可能になります。
■30分の運動(体重・性別・年令によってエネルギー消費はことなります)
@ゆっくり歩行(買い物):35~50kcal
A普通歩行(通勤):50~75kcal
B早足歩行:85~125kcal
Cゆっくりジョギング:145~210kcal
D普通ジョギング:235~300kcal
Eランニング:295~420kcal
(第五次改定日本人の栄養所要量、1994)より引用
■私の意見
粗食雑食、腹八分の食事を心得て、軽い有酸素運動をすることをお勧めします。安定した生活
習慣になるように、あまり厳しすぎず、甘えすぎず、長く続けることが大事です。