●大豆のお話
■大豆の加工
国産大豆の場合の主要な用途は1)豆腐(58%)2)煮豆・惣菜(13%)3)納豆(8%)
4)味噌・醤油(7%)などであり、一人1日あたり約9gのたんぱく質を大豆から摂取してい
ます。1日に一度も大豆を口にしない日はないほど大豆の加工品の種類は多く、昔から日本の
風土に密着した食品です。
世界の大部分の大豆は油用に利用され、採油後の大豆粕はほとんどが飼料や肥料になり、食用
はごく一部しか使われていません。しかし日本では脱脂した大豆の利用技術が発展し、アミノ
酸や人工肉の製造に使われるようになりました。まさに「畑の肉」から「本当の肉」が実現し
ました。
■大豆の成分と特徴
国産大豆(乾) 2004「五訂食品成分表」より引用
1)第一に注目すべきことは、大豆は植物の中で唯一、動物の肉に匹敵するだけの豊富な
蛋白質(約30%)を含んでいることです。そのことから大豆は日本では「畑の肉」、
アメリカでは「大地の黄金」と呼ばれています。
またこの大豆たんぱく質の消化吸収率は、納豆で91%、豆腐では95%と極めて高く
なっています。
2)大豆イソフラボン:大豆に多く含まれるイソフラボンは女性ホルモンのエストロゲン様の
作用があり、骨粗しょう症、更年期障害の改善の効果があるといわれています。
またエストロゲンの過不足を調節する働きがあることも確認されています。
3)大豆サポニン:サポニンは大豆の胚芽に多く含まれ、水に溶けて石けん様の発泡作用を
持つことからシャボン(石けん)の語源になっています。大豆を煮た時に出る泡の中に
サポニンが含まれています。このサポニンはコレステロールの吸収を抑制する働きがあり
ます。
4)脂質:リノール酸とレシチンが多く含まれ、ともにコレステロールを低下させる働きを
持っています。
5)食物繊維:大豆(約17%)のみならず豆類は食物繊維が豊富であり、便秘対策としては
良い給源となります。
6)ビタミン:大豆にはビタミンB群・Eも豊富に含まれています。
■アミノ酸スコア
大豆はアミノ酸組成のバランスに優れています。理想とされる卵・牛乳のアミノ酸スコアを100
とした場合、大豆は86になります。
下図の米は精白米、豚はロース脂身なし、牛は和牛サーロイン脂身なしで比較しています。
(2004「五訂食品成分表」より引用)
■私の意見
日本人と大豆との出会いはとても古く、約2000年前の弥生時代に稲作とともに朝鮮半島から
伝わったといわれています。そして鎌倉時代以降に本格的に広まり、侍や農民の蛋白源として、
また保存食として欠かせないものになっていきました。
また日本では昔から、米・麦・あわ・ひえ・豆を五穀と呼び、大切にしてきました。今でも秋
の収穫期に五穀豊穣を祈る様々な行事が全国で行われています。
私たちはほとんど毎日、豆腐、煮豆、納豆、味噌、醤油などの大豆あるいは大豆の加工品を口
にしています。大豆は日本の風土に密着した、また日本人にあった栄養価のとても高い食品で
す。私は煮豆、黒豆、納豆が好物で、ほぼ毎日大豆を食べています。
納豆かけご飯を食べましょう!