●自費でのピロリ菌除菌
■新ガイドライン
日本ヘリコバクター学会は「H.pylori感染の診断と治療のガイドライン2009改訂版」
を発表しました。これまでの胃・十二指腸潰瘍に限定した除菌治療に対して、新たに
「H.p感染症」を除菌治療の適応として推奨しています。
■Hp除菌による胃がんの予防効果
2008年8月に日本人による日本人の大規模試験が発表されました。
要約すると、Hpを除菌したグループと除菌しないグループに分けて観察したところ、除
菌グループは除菌しないグループより胃がんの発症が1/3に抑えられたというものでし
た。除菌治療が胃がんの発生を有意に抑制することが示されました。
■公的保険
現在の保険診療では胃・十二指腸潰瘍しか除菌の適応として認められていません。
■自費でのピロリ菌除菌
日本ヘリコバクター学会の新ガイドラインを受けて、一部の大学付属病院では全額自費
による除菌のための「ピロリ菌専門外来」を開設しています。
北海道大学ではこの3月に光学医療診療部(内視鏡室)の特別外来として、ピロリ菌専
門外来を開設し、除菌治療を行っています。
1)自費での料金体系について北海道大学(北大)と当院とを比較してご紹介します。
※Hpの感染の有無は尿素呼気試験にて判定しています。
※除菌の方法は全国共通です。お薬代は別途かかります。
A)除菌なし
(Hpの感染の判定のみ):@内視鏡なし:北大15330円 当院 5000円
A内視鏡あり:北大27405円 当院15000円
B)除菌あり(Hp陽性)
(尿素呼気試験前後2回):@内視鏡なし:北大28770円 当院11000円
A内視鏡あり:北大40845円 当院21000円
C)2次除菌
B)での除菌が不成功の場合、再除菌を行います。
@北大13440円 A当院 6000円
※上記の北大の資料はJapan Medicine 2009 4/27 No1393より引用しました。
2)慶応大学では2000年よりピロリ菌外来が開設され、1次・2次除菌の不成功例など
のHp菌の難治症例を受け入れ、3次除菌(臨牀試験)も行っています。またHpに
起因するさまざまな疾患の相談にも対応しています。
■新ガイドラインの解釈
「Hp感染症」は推奨度Aとして定めています。この推奨度Aとは「強い科学的根拠が
あり、除菌を行うよう強く勧められる」という強い評価です。