●痔について勉強しましょう!
痔は大きく分類すると、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう(あな痔)の3つに分け
られ、なかでも多いのが痔核で過半数を占めています。今回はこの痔核についてお話しま
す。肛門と直腸は内と外との括約筋で二重に囲まれています。この2つの筋肉の力で排便
コントロ−ルしていますが、括約筋だけでは便やガスのもれを防ぐことはできません。
肛門を閉じようとしても、少しの隙間ができます。その隙間をカバ−しているのが括約筋
と直腸粘膜や肛門上皮の間にある粘膜下組織です。この粘膜下組織はクッションのように
やわらかく、かつ弾力があって肛門をしっかり閉じる役割を果たしています。そしてこの
肛門クッションに負担がかかると出血したり、脱肛するようになります。これが痔核の本
態であるとする説が今は主流となっています。
痔核の症状は、最初は排便後の違和感程度ですが、そのうち排便時の出血がみられるよう
になります。出血の色は、真っ赤であることも特徴です。出血量も多く、“ポタポタ出血”
や“ピュ−と飛び散る”こともあります。ここで絶対に忘れてはならないのが“直腸がん
や大腸がん”からの出血です。がんの場合は一般的には“ジワジワ出血”が多く、色や量
がことなります。内痔核はほとんど痛みはありませんが、外痔核では多くは痛みを伴いま
す。
痔核の治療の基本は“良い排便をする”ことに尽きます。そのためには食物繊維と水分を
十分とることが肝心です。そして排便の心得として、
@トイレには便意を感じてから行く
A便は無理に出し切ろうとしない(いきみ過ぎない)
Bトイレは5分以内にするなどです。
肛門からの出血や痛みがあったら、痔と思い込まないように、がんの存在も忘れずに、
専門医を受診しましょう。