●自然気胸
気胸とは、胸腔内に空気がたまり、肺が虚脱(小さくなる)した状態をいいます。その発
症原因により自然(特発性)気胸、外傷性気胸、続発性気胸、医原性気胸に分類されます。
今回は最も多く見られる自然気胸を取り上げました。これは特発性気胸とも呼ばれ、肺の
一部が“ブラあるいはブレブ”と呼ばれる胸膜下気腫性のう胞の破裂によって起こるもの
です。要約すると、肺の先端部分(鎖骨に近い所)のうすくなった風船が破れて、肺の中
の空気が胸腔内にもれて、そのもれた空気が肺を圧迫して、肺が小さくなった状態です。
特徴として、長身で胸が扁平な、いわゆる“背の高くひょろっとした体型”の青年男子に
多くみられます。
バスケットの練習中などに、急激な胸痛、呼吸困難、せきなどで発症します。安静時でも
発症することがあります。急激な3症状、聴診、胸部レントゲン写真で診断は容易です。
気胸が疑われたら、安静にして救急車にて病院に搬送してください。
左の肺の先端が↓の部分まで小さくなっています。
ドレナージ(胸腔内に管を挿入して、たまった空気を外に吸引すること)することなく、
保存的な経過観察にて改善しました。