●がんと生活習慣
■日本人の3大死因は?
「国民衛生の動向」によると2004年の死亡数は1028602人となり、その内訳をみると
第1位 悪性新生物 320358人(1980:161764)
第2位 心 疾 患 159625人 (1980:123505)
第3位 脳血管疾患 129055人 (1980:162317) となります。
1965年以降、脳血管疾患は着実に減少していますが、心疾患は増加傾向にあり、悪性新生
物は1980年の2倍となり、一貫して増加しています。
■どこの臓器の悪性新生物(がん)が多いのでしょうか?
男性は肺、胃、肝、大腸、女性は大腸、胃、肺、肝、乳房の順です。男女とも胃は減少傾
向にあるものの、肺、大腸、肝、乳房はすべて増加しています。
■がんの原因は何が多いのでしょうか?
がんの原因はタバコ、食事、運動不足、アルコール、遺伝、環境汚染などがあげられます。
このタバコ、食事、運動不足、アルコールなどは正に個人の生活習慣そのものであり、お
よそ68%を占めています。つまり生活習慣を改善することによってがんの予防効果が期
待できることになります。
■がんの予防効果(リクス減少とリスク増大)は?
1)タバコ:
厚労省によると、タバコが原因でがん、心臓病、脳卒中などで年間約10万5千人が、
そのうちがんでは5万6千人が死亡したと報告しています。喫煙していれば、いかな
る予防法・健康法も無効になるほどタバコのリスクが高いといえます。
喫煙することは「私はがんになっても後悔しません」と宣言したことになります。
2)アルコール:
アルコールには口腔、食道などの粘膜を傷つけたり、発がん物質を溶かして細胞内に
入りやすくする作用があり、特に口腔・咽頭、食道、肝臓のがんの発症リスクを高め
ることが知られています。
3)食事:
日本などの食塩摂取量の多い国では胃がん多く、食塩が胃粘膜を傷つけることが知ら
れています。ハワイの日系人には胃がんが少なく、本土のアメリカ人のがんの発症と
似ていることからも食生活とがんとが密接に関係していることが推察されます。
また野菜やくだものが多くのがんのリスクを軽減していることもよく知られており、
「5 a day program」(1日に5品以上の野菜・くだものを食べよう)キャンペーン
でアメリカでは成功を収めています。
がんと生活習慣との関係をアメリカがん研究財団(AICR)の”Food,Nutrition and the
Prevention of
Cancer”から抜粋し、表を作成しました。
リスク減少:●決定的 ●ほぼ確実 ●可能性あり
リスク増大:■決定的 ■ほぼ確実 ■可能性あり
(カルチノイド:ビタミンAのプロビタミン)
■私の意見
何が何でもタバコは絶対にいけません。
塩分を控え、熱いものは少しさまして食べる。野菜、くだものはたくさん食べ、肉類特に
牛・豚・羊などの赤肉は食べ過ぎないようにする(鶏・魚はお勧め)。軽い運動をして、な
るべく標準体重の近くにいるように心がけましょう。
最後に、H18年11月19日(日)の朝日新聞朝刊一面に載っていた記事を紹介します。
宮城県の約2万7000人を対象に、東北大学の公衆衛生学教室が調査した結果、
1)喫煙に加えてほぼ毎日飲酒する男性は、どちらの習慣もない人と比べて食道がんにな
るリスクが9〜11倍ある 2)食道がんは、たばこの関与が特に大きく、計算上、患者
の約7割は喫煙しなければがんは避けられたと報告しています。まとめとして、「食道がん
は生活習慣で予防できる代表的ながん。禁煙が何より大事で、酒を飲みながらのたばこは
最悪です」としています。